相手に突き刺さる伝言メモの書き方とは……絵ごころでビジネス力アップ!

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閉鎖ブログ『ビジネスに役立つ絵ごころ入門』から、選り抜きした作品を転載(加筆修正)しています。

その第6弾は、相手へ確実に情報が伝わるメモの書き方です。

伝言を受けた人は、内容をメモに表してただ渡せばいいのではなく、相手に素早く理解できるようにわかりやすい情報にまとめ、いち早く行動へ移してもらうのが役割です。
「ちゃんとメモで渡しているのに読まない方が悪い」ではなく、読ませる工夫を施すことで、より早く相手が動き出させる−−伝言メモであっても、ひとつのコミュニケーションツールなのです。

 

第6話:相手の目を止めさせ、理解から行動に繋がる伝言メモの書き方

 

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なになに、吉野さんが大きなため息をついています。
恵賀くんはそお〜と近づき「あらあらおかしいよ。そんな顔してちゃ」と、ちょい低音でささやきました。
「なんでもないの。ほっといて……」と、吉野さんはそっけなく言い放ちます。

その反応が恵賀くんを大いに落胆させたところへ、
「どうして私の伝言メモって、部長に読んでもらえないのかなぁ」
と、独り言にしてはハッキリとした声で吉野さんは呟きました。
恵賀くんはいつもの高音に戻しつつ、「ボクでよろしければ、事情を聴かせてもらえますか」とやや弱気な問いかけです。

「実はね。私、字が下手なの。ミミズみたいな文字になっちゃうの。だから、伝言メモを書いても、ちゃんと読んでもらえないの。それだけじゃないの。部長の机にはたくさんの伝言メモが溜まるの。その中で私のは埋もれちゃうの。重要な要件なのに目立たず、やっぱ読んでもらえないの。それでね、部長に怒られちゃうの」
と、吉野さんは身体をクネクネしながら切々と訴えます。
そして、「ほら、ごらん」と自分が書いた伝言メモを恵賀くんに差し出しました。

そのメモを見たとたん、恵賀くんはサッと手を引っ込めました。
紙面にミミズが這っていると見間違ったからです。……よく見れば吉野さんの文字でした。

「確かにこの文字じゃ、読めたもんじゃないな。落書きだよな。ふざけてると思って、ゴミ箱へ捨てるよな」と唸った恵賀くんでしたが、「大丈夫。ボクがいいことを教えてあげるよ」とニヒルな笑顔で吉野さんに流し目を送りました。

 

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ミミズの這う文字で悩む吉野さん。
恵賀くんはなるべく彼女を傷つけないように、
「吉野さんの字が下手くそすぎるだけで、伝言メモを読んでくれない訳じゃないんだ。文章って最初から順番に読み切らないと、意味がわからないよね。だから誰が書いても、読む気のない人にとっては最後まで読み通さない限り、充分にその内容が伝わらないんだ。きっと部長は他の人の書いた伝言メモでも、しっかりと読んでいないよ。そんなヤツなんだよ、部長って人は。たまたま吉野さんが受ける伝言に大事な要件が多いので、後で大事になるだけなんだよ」
と優しくささやき、
「だから吉野さんが飛び抜けて字が下手くそで、どうしようもなくても、それだけが原因で読んでもらえない訳じゃないんだ」
と、状況をまとめました。

吉野さんは「なんだか、わかったような気がするけど、……何?この腹立たしさは……」とちょっぴり引っかかりながらも、理解を示しました。

「だったら、こうすればいいよ」
恵賀くんは、吉野さんのメモの左上にサラサラと電話の絵を描きました。
そして説明口調で続けます。
「文字を読むってのは、左脳的な処理。いわば直列的な情報伝達なので、すべてに目を通さないとその内容を知ることができない。絵は、イメージとして右脳に飛び込む。その形状をつかむことによって、大まかな主旨を捉えることができる。絵の印象から興味を得られれば、それに続く文字を読む動機付けにつながっていく」

恵賀くんは、吉野さんを見つめて、
「だから君のような悪筆でも、何も恥ずかしがることはない。いや恥ずかしいと思うからこそ、相手に通じるための情報提供へ努力するきっかけとなる。素晴らしいことじゃないか。悪筆バンザイだよ!」
と言い残し、その場を去ります。
「ま、待って! あなたの屁理屈はわかったけど、どうやってメモに描けばいいの?」と追いすがる吉野さん。

さらなる教えを請うために……。

 

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吉野さんは恵賀くんを呼び止め、
「あなたは絵が上手いから偉そうなことを言えるけど、私はそんな特技なんて持っていない。何をどう描いたらいいのか、私でもできるように教えなさいよ」
と、なんだか必死です。

恵賀くんは「慌てなさんな」とばかり、ゆっくりと振り向きながら、
仕事には”緊急度”の高い用件と、”重要度”の高い用件があるよね。その観点を知らせるつもりで、伝言メモへ記すんだよ」
と応じました。
そして吉野さんを椅子に座らせ、恵賀くんはメモ用紙を手にしました。
「まずは絵を描く場所。横書きの場合は、紙面の左上だね。最初に目に留まる場所だから。そして緊急な用件はまず対象を描き、そこに波線など加えて動きを加える。ね、急いでって訴えて見えるよね」
ササッとペンが走ります。

「では次ね。重要な用件は、何をして欲しいのかを簡単に表す。相手がやらなければならない行動を、シンプルにイメージさせるんだ。そう、フィニッシュの状態がわかるようにね」と、恵賀くんは声を張りました。
「その他に重要人物からのメッセージなんかは、”偉い人”っぽいキャラを描く。人物の絵って、目に付きやすく惹きつけられるもんね」

しかし、吉野さんはあきらめ顔で、「やっぱ、私には無理だわ」と呟きます。
恵賀くんはすかさず、
「間違ってはいけないよ。絵を描くことに慣れていないだけで、決してできないことじゃないんだ。そうやって、自分に限界を感じていたら、いつまで経っても何も変わりゃしないよ。そう、これからもずっとミミズ女って笑われ続けるよ!」
と、別にミミズ女って呼ばれているわけでもない吉野さんに、熱く訴えました。

「ボクが描いたサンプルを練習したら、大概の用件は対処できる。ボクを信じて、やってご覧よ」と恵賀くんは言い切り、ビリー・ジョエルの『ストレンジャー』を口笛で忠実に再現しながら、自席へと戻っていくのでした。

第6話おわり

 

《バックナンバーのリンク》
 第1話:プレゼンテーションで我を取り戻す方法
 第2話:対立する議論を冷静に収める方法 
 第3話:資料作成で図解をクールに、しかもホットに描くコツ 
 第4話:聴衆を惹きつけるプレゼンには欠かせない、ホワイトボードでの演出術
 第5話:臨場感あふれる議事録の仕上げ方

 

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