会議の臨場感まで伝える議事録の書き方とは……絵ごころでビジネス力アップ!

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閉鎖ブログ『ビジネスに役立つ絵ごころ入門』から、選り抜きした作品を転載(加筆修正)しています。

その第5弾は、ディスカッションの臨場感までも伝える議事録の表現方法です。

打ち合わせや交渉における議事録は、決議事項の羅列だけでは不充分です。
現地の出席者のやり取りを、その場にいない人へも伝わるような記録の取り方を、恵賀くんがいやらしくも具体的に教えてくれます。

 

第5話:臨場感あふれる議事録の仕上げ方

 

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ついつい……、課長にこっぴどく叱られている田原本くんの姿に気づいた恵賀くんは、二人の会話へ耳をそばだてました。
どうやら、前回の会議を欠席した課長が、田原本くんの議事録にクレームを付けているようです。

課長「おまえの議事録を読んで会議に出たら、様相が全く違っていたぞ!」
田原本「えっ、どうしてですか? ちゃんと決まったことは書きましたよ」
課長「議事録からは何の問題も読み取れなかったのに、会議の雰囲気は殺気立っていただろ!」
田原本「ええ。そうですよ」
課長「なに言ってんだ! 前回は”無事に合意した”はずじゃなかったのか!」
田原本「いや、大揉めに揉めて、なんとか片方が折れた感じで決着したんですが……」
課長「そんなこと、ひと言も書いていないじゃないかよ」
田原本「まぁ、一応の合意のもとで会議は終わったので……」
課長「あんなぁ、場の状況まで記録するのが議事録だろうが!」

田原本くんの表情はこわばり、課長に詰め寄ります。

田原本「課長は日頃、議事録には客観的事実だけを記せって言っているじゃないですか」
課長「おお、そうだ。当たり前じゃないか!」
田原本「だから決まったことだけを冷静に書いてるんです!」
課長「おまえは馬鹿か。結果だけを淡々と記すだけで客観的だと思っているのか!」
田原本「違うんですか?」
課長「その場で見聞きした討議の情勢もちゃんと書いておく。それが議事録だ!」
田原本「そんなことを書けば、ボクの主観的な見解になりませんか」
課長「つべこべ言わずに、出席者の動向も議事録にはちゃんと記録しておけよ!」
田原本「どうやって書けばいいのですか?」
課長「知るか! 自分で考えろ!」

恵賀くんは、いてもたってもいられません。
悔しげな表情で席に戻る田原本くんに、「話は全部聞いた。ボクが何とかしてやるよ」とドラマで時間短縮する際に使う台詞を、恵賀くんは言い放ちました。

 

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「ロジャー・スペリーの右脳左脳モデル理論を、君は知っているかね?」という恵賀くんの投げかけに、「えっ、何様?」と反応した4年先輩にあたる田原本くんは、「そんな理論は知らないし、知りたくもない」とキッパリ。

ガッカリ顔の恵賀くんでしたが、気を取り直して一枚の用紙を見せます。
「ボクの議事録をご覧よ。ほら、左サイド。文章で決定事項や未決事項を正確に記しているよね。でもこれだけでは、その場の雰囲気や情勢の変化は伝わらない。だから文章の右側に話し合いの状況をイラストにして、それらを繋げながら経過を表していくんだよ」
田原本くんは、興味深く紙面に目をやりました。

その様子に安心した恵賀くんは、学者口調が復活です。
文章などの直列的な論理把握は左脳が得意とするところだが、全体的なイメージや構成などの概念的な表現は右脳の役割が必要なんじゃ。我々はその両方の視点から情報をつかんでおる。したがって、こうした描く行為を加えることで、読み手の全脳にメッセージを届けられるんだな、これが。そんなロジャー・スペリーの右脳左脳モデルを基に……」
田原本くんは「うるさいよ!」と、きつめの抵抗を挟みました。

恵賀くんは開けた口を閉じることなく、「……じゃ、失敬」とその場を去ろうとします。
田原本くんは反省を示し、「わ、悪かったよ、恵賀。俺にもそのロジャーなんちゃらを教えてくれよ」と、懇願の姿勢に切り替わりました。

さらなる教えを請うために……

 

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ニヤリと口元を緩めて、立ち止まる恵賀くん。
「ま、ロジャーのことは、この次にして……」と、”アンタにはまだ早いよ”的なニュアンスを醸しながら、田原本くんへ振り返ります。
そして、「これを見なよ!」と恵賀くんはいつの間にやら描いた絵を見せつけ、「ポイントは3つだ」とキッパリ。
その後は説明口調で続けました。

「人またはグループを一つの単位として捉え、擬人化をする。描き分けるために、丸や四角、三角といった輪郭で記す。けっして似顔絵を描くわけではなく、記号としてその対象を表すのだ」

「話題にはまず自ら主張する”言い出しっぺ”がいる。その発言者をひと目で認識するために、輪郭の周りには強調線を引いて目立たせる」

目の描き方で、その時にみせた心理を表現する。満足しているか、抵抗しているか、冷静か、などを議事録作成者が感じた印象で素直に表せばよいだろう」

主張の強さや発言のポジティブ性・ネガティブ性は、口の形状で示す。そう、半月を描く要領だ。その発言の勢いによって口の大きさを変えれば、さらに雰囲気が伝わる」

恵賀くんは「ポイントは3つ」と言いながら、4つのポイントを伝えました。
田原本くんは「うん、やってみるよ」と自分のデスクに走ります。
「これでどうやら、彼は出世コースを歩むだろう……」と、何の脈略のないつぶやきを発した恵賀くんは、やや音を外しながらビリー・ジョエルの『ストレンジャー』を口笛で奏でてその場を去りました。

第5話おわり

 

《バックナンバーのリンク》
 第1話:プレゼンテーションで我を取り戻す方法
 第2話:対立する議論を冷静に収める方法 
 第3話:資料作成で図解をクールに、しかもホットに描くコツ 
 第4話:聴衆を惹きつけるプレゼンには欠かせない、ホワイトボードでの演出術

 

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