資料作成で図解を効果的に描くコツとは……絵ごころでビジネス力アップ!

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ブログ『ビジネスに役立つ絵ごころ入門』から、選り抜きした作品を掲載しています。
課題編→解決編→さらなる学習編と3話で構成していた物語を、1本につなぎ合わせています。

その第3弾は、資料作成のレベルアップ
視覚的でわかりやすい資料を作成することが、単に紙面を華やかにすることと勘違いする資料作成者に、恵賀くんがヒントを与えます。

 

第3話:資料作成で図解をクールに、しかもホットに描くコツ

 

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ルンルンと恵賀くんが特に目的を持たずにオフィスを歩いていると、「ちょいと」と女性の声で呼び止められました。
声の主は、マーケティング・チームの郡山さんです。仕事の評判が二分する4年先輩です。
恵賀くんは一抹の不安をかかえ、郡山さんに近づきました。

「あんたさ、絵が上手いって評判だけど、お調子に乗っていない?」
「いえ、特にそのようなことなど……」と恵賀くんはいつになく慎重な応対です。
「だったら、あたしの質問に答えなさいよね」と、よくわからない理屈で郡山さんは主張しながら、一綴じの資料を恵賀くんへ見せました。
「あたしの提案資料って、あんたの目から見て変だと思う? どうなの? ハッキリしなさいよ」
恵賀くんに考える隙を与えず突っ込んできます。

「こりゃ、難儀なことになったわい」と顎をなでつつも、恵賀くんはその資料を一目見て言いました。
「論理図解としては、ラブリー過ぎだよね」
その言葉に、郡山さんは恵賀くんをカッと睨みます。
「う、うまくできていま……」と言い換える恵賀くんの声に、「そうなのよ、あたしの資料って可愛らし過ぎると言われて笑われるのよ」と郡山さんの声が被りました。

「この間の営業企画会議でも、『いやぁ、君って女の子なんだね』と部長が豪快に笑ったの。これってセクハラよね。あんた、どう思う?」
「はっ、ごもっと……」と言い切らないうちに、「もっとクールで論理的に図解する方法って、あんた知ってる? だったら教えなさいよ。聴いてあげるから」

恵賀くんは「この人って、わかりやすいほど可愛いじゃないか」と内心で見直しながら、「では、私めがお答えして差し上げましょうぞ。女王様」と、深々と頭を下げました。
すかさず「苦しゅうない」と、郡山さんの反応がありました。

 

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恵賀くんは郡山さんの資料を指さしながら、
「ビジネスで扱う図解って、論理的なの。つまりクールに情報や概念を示さなければならないんだよ。ピンクのハート形なんて描いちゃったら、そのクールさが台無しじゃん」
と、そろそろ得意の説明口調が始まります。

「だって、あたしのメッセージがこのハートに含まれているから……」と郡山さんは反論しましたが、恵賀くんはその言葉を遮りました。
「ダメだよ。客観的情報ほどその正確性が求められるから、幾何学的な図形を中心に冷静な表現を心がけるんだ。よく提案書にアメリカンなイラストや意味のないクリップアートが貼り付けられているのを見るけど、そんなことしたら情報の質がエモーショナルな方へ傾き過ぎて効果半減だね。なんせビジネスなんだから……」

恵賀くんは郡山さんの資料を手に取り、ペンでサラサラと図解を描きます。
「基本パターンとして、この3つを憶えるがよいぞ。それぞれの要素が交わらず、全体の仕組みなどを示す“構成・構造”系。要素同士に共通点があり、それが重なり合う“集合・関係”系。時の流れに身をまかせながら、その変化状態を組み立てる“時系列”系。これらをベースにして、バリエーション展開する」
郡山さんは「こんなんだけじゃ、味も素っ気もないじゃん」と不満な表情。

「あくまでも客観性の高い情報を提供しながら、読み手がそこに解釈を重ねていくのが図解の基本的役割。……ただね。ほんの少しだけ、自らの気持ちを投影させながら相手にイメージをつかんでもらう“囲み図形”の法則ってヤツがあるんだよ。じゃあ……」
と、恵賀くんは謎を残してその場から離れます。
「えっ、なに。このおいてけぼり感は!」と、凄まじく郡山さんは声を上げました。
「あ、やっぱりね」といった感じで、恵賀くんは振り向きます。
「まだボクにご用かな?」
「当たり前田のクラッカーよ!」
郡山さんは歳がわかってしまうほどの古いギャグを飛ばし、恵賀くんを引き留めました。
さらなる教えを請うために……

 

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「図を描く時にさ、丸や四角なんかをどう使い分けている?」と、恵賀くんは郡山さんへ質問を投げかけました。
「そんなの、そん時の気分じゃん。ま、あたしは人格からして丸系だけどね」と、郡山さんのある種強引な理屈は、恵賀くんにとって期待通りでした。

「だよね、なんの図形を選ぶかは、その場の気持ちが優先しちゃうよね。でもね、論理図解なんだよ。論理的な図解。そうロジカルなイラストレイテッドなんだぜ」
特に必要のない英語を挟みながら、恵賀くんは空を見上げます。
まるでそこに図解が描かれているかのように……。

「たとえば、より具体性のある対象を直線的な四角。少し曖昧になるにつれ、図形の角を丸めていく。たとえば時間の流れでいえば、”現在”が四角。”未来”が丸になるなんて、どうよ」
「どうよ、って言われたって……」
郡山さんはまっとうな反応を示しました。

「さらにはその図形の大きさやバランスで現状を示し、将来的に期待する変化を矢印や破線で補う。いわば、今をハッキリと固定させ、未来には動きの方向を与えるんだ。……ほらね.」
と、恵賀くんは空中を指さします。
そして、郡山さんへ静かに語りました。
「だからハートのような即物的な形状にしなくても、クールな図解を用いて、自らの意思をホットに伝えることができるんだぜ」

「さっきからあんたの話を聴いているけど、どこを指さして、何を見ているかわかんないわよ!」と郡山さんは激しく指摘しましたが、「気にしない、気にしない」と恵賀くんは『ストレンジャー』の旋律を口笛しながら、あてもなく消えていくのでした。

第3話おわり

 

《バックナンバーのリンク》
 第1話:プレゼンテーションで我を取り戻す方法
 第2話:対立する議論を冷静に収める方法 

 

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