東京マラソン完走をプロジェクトマネジメントとして捉えてみる!

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先日はランニング仲間が走るため、東京マラソンの応援で明け暮れました。

新宿、日比谷、銀座、東銀座、そして東京ビックサイトと応援の場を変え、多くのランナーの中からお目当ての仲間を探します。

「iさんはまだ?」「あれって、iさんじゃない?」「いや、あの走り方はiさんじゃないよ」など、なかなか見つけられないiさん。
やがて「iさんって走っているの?」「iさんって誰だっけ?」「iさん自体、実在するの?」という風に会話が変化するから不思議です。

そうして目の前を過ぎ去る市民ランナーたちを見ながら、「この人たちは東京マラソンというプロジェクトを、いままさに実行しているだなぁ」と感慨が深まりました。

そこで、東京マラソン完走を目標にするランナーを『プロジェクトマネジメント研修』で学習するフレームワークへ当てはめて、考察してみましょう。

 

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以下のセッションがプロマネ研修における流れです。

PDCA(計画・実行・検証・改善)の視点で、セッションが進んでいきます。

 

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① 目標を明確にする

 

プロジェクトのテーマは「東京マラソン完走」ですが、その課題において“明確”にすべき目標の要素分解が必要です。

ビジネス活動で目的を達成するには、「Quality(品質、精度)」を高めるのか、「Cost(原価、費用)」を抑えるのか、「Time(時間、納期)」を短縮するかの観点で捉え、そのバランスを予め決めておきます。

Qualityを上げればCostはかさみ、Timeを早めればQualityが下がるというトレードオフの関係にあるからです。

これら3要素のウエイトが共有化されないままプロジェクトが開始されると、品質レベルを強調するメンバーとコストダウンを要求するメンバーなど相容れない状況が発生し、推進活動に支障が来します。

市民ランナーのマラソンに関しては、Quality(楽しく走る)とTime(自己記録を作る)のどちらを選択するべきかをハッキリさせる方が、走り終わってからの満足度が変わると思います。どちらも100点満点を取れないので、自分の中で”選択と集中”が必要になるのです。

東京マラソンの場合は、ゼッケン番号A〜Dが『Time>Quality』感が強く、E以降のランナーが 『Quality>Time』を目標にしているようでした。

 

 

② 作業を分解する

 

目標を決めると、そのための計画づくりに移ります。

マラソン完走に向けて、まず練習メニューを決めなければなりません。「何をどうするか」ってところです。

プロマネ研修では、付箋にやるべきタスクをザッと書き出してもらいます。
時間軸や負荷など気にせず、やるべきこと(またはやってはいけないこと)などの情報を集めます。

マラソン雑誌を読めば、自分のレベルに応じた練習方法が豊富に公開されているので、それらを取捨選択しながら記述していくのがよいでしょう。

 

③ 所要時間を見積もる

 

所要時間とは、その作業自体にかかる時間です。
そこに期間という活動範囲を加えます。いつまで繰り返し行うのかを決めるのです。

特にゴールの期日が設けられている目標には、限られた時間におけるタスク配分が必要になるため、フェーズの概念を当てはめることが必要です。

マラソンの場合、基礎力づくり、走り込み、疲労回復などの局面を設けて、 取り組み内容の切り替えを行うような具合です。

 

④ 作業の前後関係を築く

 

効果的な作業の流れを設計します。
プロマネ研修ではアローダイヤグラム(下図)を用います。

並行して進められる活動と、直列的な作業を見極めるのです。
限られた時間で成果を上げるためには、この2軸をしっかりと構成しておきます。

直列的につなぐポイントは、前のタスクが終わらないと次の作業に取りかかれない前提になっているかどうかを確認すればよいです。
ランニングなら、練習前後のストレッチと走るトレーニングのバリエーションがフローチャート化されることでしょう。

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⑤ スケジュールを作る

 

できあがったアローダイヤグラムをベースに、ガントチャートへと作り替えます。

アローダイヤグラムは前後関係がわかりやすいのですが、どの期間がどれだけタスクが重なっているか、時間軸における作業バランスがわかりにくいのでスケジュールに落としておくのです。

「このあたりの練習がきつそうだな」や「このころに東京マラソンの申し込みが始まるのか」とイメージしておきます。
そうすれば、”エントリー忘れ”という最悪の事態を招きませんから。

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(上図の左端がタスク単位で、時間軸に沿って作業期間が横方向へと流れます)

 

⑥ 負荷をならす 

 

ガントチャートを眺めながら、タスクが重なって処理能力の追いつかないところは、仕事の負荷を分散させます。

プロジェクトマネジメントでは要員を確保したりしますが、マラソンは個人活動なので予定を前後にずらしながら、実現の可能性が見込める行動ボリュームへと平準化しておきます。

 

⑦ 予算を作る

 

限られた予算において、どのタスクに資源配分するかを決めます。

マラソンの場合は、いくらでシューズやウェアを新調するかなどグッズ購入だけでなく、フルマラソンを走るのなら10㎞やハーフへのレース参加費用も考慮しておくべきでしょう。

 

⑧ リスクに備える

 

トラブルや障害への対策を見込んでおきます。
そのためには未然防止を心がけます。未然防止には”前兆”を察知する視点が必要となります。

「右膝の内側にハリが出たら」や「脚の中指の爪が変色したら」など、トラブルが発生する前のシグナルを発見し、その段階で対処するのです。
何事も水際で抑えるのが、コストも時間もかかりません。

 

⑨ 進捗を管理する

 

ガントチャートでの計画に実績ラインを書き込んでいくと、進捗具合が把握できます。

そこで進み具合が予定通りでないと、細かい修正をかけていきます。
トラブルに関しては、応急処置(その場で施すために)と恒久対策(繰り返さないように)を行います。

プロジェクトマネージャとして「やってはいけない」ことは、現在の進捗状況から計算してゴール期日をずらすことです。
期限を後送りすることはマネジメントではなく意思決定なので、権限のある人にしかできません。(権限のある人だったら誰でもできます)

マネージャは決められたゴールへ時間通りに到達する能力を求められるのです。だから「今回は仕方ないから1週間ずらそう」は、マネージャの言葉ではないといえます。

東京マラソンの開催日程を、ランナーの意見で変更することができないように……

 

⑩ 事後の見直しをする

 

プロジェクトを終了するには、必ず振り返りを行って次回に向けての改善策を検討します。

フルマラソンを走りながら目標達成できないと感じ始めると、「もう絶対マラソンはしない」というささやきが脳裏へ浮かびます。
「オレはなぜ走らなければならないんだ」と哲学しだしたりします。

しかし、走り終えてしばらくすると「あそこをこうすれば、次はうまくいくかもしれない」という気持ちが沸々としてくるのです。

こうして次回への期待が感じられると、自らを反省し再チャレンジとなります。
「あ、オレって走るのが好きなんだ」と、また頑張っている自分を夢見るのです。

 

 

……ということで、東京マラソン完走という未体験なプロジェクトに取り組むには、自分へ期待する気持ちとその達成に向けた綿密なプランニング、さらなる実行力が求められるというわけですね。

 

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プロジェクトマネジメント研修では、上に掲げるワークシートを用いて実践的な演習を行います。

プロマネのアプローチはセルフマネジメントと同様ですから、これらのシートを個人向けのワークツールとしてまとめ直せるかもしれませんね。

 

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