Appleのデザインが日本メーカーで生まれない泥臭い理由

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表題については語り尽くされていることだと思いますが、電機メーカーの商品企画をやっていた経験からの私見を述べます。

 

AppleTVが新しくなり、早速購入しました。リビングのテレビと接続し、楽しんでおります。

まず製品を開梱したときに驚かされるのは、そのリモコンです。

「これはなんかのヘラか!」としか形容できなかったデザイン性
質感と共に、ついつい触っていたくなります。

しかし、そのリモコンを指でなでながら、「もしこれを日本の電機メーカーで提案したら、果たして商品化されるのか?」と思い、商品企画をやっていた頃へ脳内タイムスリップ

すぐに答えは見つかりました……

それは「ぜったいに採用されへんやろな、このデザインでは……」というため息交じりな結論です。

 

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当時の企画採用のプロセスを思い起こせば、こんな感じで話が進んでいたでしょう。

 

意匠がサンプルデザインを挙げて、いくつかのモックアップを制作
発泡スチロールなんかを削って、原寸大のものを作ります。

そして、商品開発設計、品質保証、営業企画、商品部などのお偉いさんが集まり、企画検討会議が始まります。

そこでこのAppleTVみたいなリモコンを見せて提案すると、こう言われるでしょう。

「こんなの新聞かなんかに紛れて、棄てられてしまうぞ!」

いくつかの賛成意見が合っても、誰かがネガティブ意見を発したら、場の雰囲気が変わります。
そのトラブルや障害を想定したデザインの突っ込み合いへ、皆が流れてしまうのです。

「そうだな、子供がしゃぶってしまうかも……」

「口に入った時、有害がどうかは検討したか!」

「抗菌処理をし、リモコン本体には”決して口にしないでください”というシールを貼る必要があるね」

「紛失の怖れがあるから注意書きを取説と別に作らないといけないよ、これじゃ」

「そんなコストアップについて、君らは考えているのか!」

……と叱咤されて、不採用になるのです。

 

各セクションを代表する責任者が集まり、互いが自ら立場を主張しながら満足する結果って、どうしても過去基準な横並び傾向になります。

新しいモノを産み出すというより、未知なリスクに備えるという思考になっていくのです。

だから、商品企画担当側で「これは採用されへんやろな」と先にあきらめます。
『市場・顧客 < 上層部』的な視点が必ず入ってしまうからです。

日本メーカーの上層部が原因というよりも、担当者側の熱意不足がデザイン競争力を弱めたのかもしれませんね。

でも中には「俺はこれって売れると思うんだけどね」と、会議終了後に耳打ちしてくれる他部署の責任者がいたのが救いでした。

 

……といっても、20年以上前の商品企画における内情ですから、今は全く違っていることと思いますよ。

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