【書評】プロ講師って本当に稼げるのか?

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標題の答え。……それは、稼いでいるから”プロ講師”なのだろう。

フリーターがたまに人に教えていたとしても、自分のことをプロ講師だとは言いづらい。
いわば講師だけで生活をやっていける人が、自らをプロ講師と認識する。

したがって、濱田秀彦著『実は稼げる[プロ講師]という働き方』=阪急コミュニケーションズ刊=は、そのタイトルがある意味パラドックスになっている。
この本に別タイトルを与えるとしたら、『これが「プロ講師」として稼ぐための働き方』になろうか。

さて、本書についての感想を述べよう……

多くの”講師になるためのノウハウ物”を読んできて、本書が最も実感を得られた。
それは、この本に書かれた講師の活動が、現在の当方のワークスタイルに即しているからだ。

エージェントとタッグを組んで研修案件を受注し、研修カリキュラムやテキスト、ワークシート等を制作。
講師としての自分を磨き、受講者を前にライブ感あふれる研修を実践する。

このようなプロセスを経て、当方も講師業を営んでいる。
直接取引もあるが、その数はわずかだ。やはり効率を考えると、営業部分はエージェントに任せる方が幅が拡がるし、大きな仕事もできる。
そうした点で、本書にはなんら誇張や偽りがなかった。

ただひとつ、ちょっと誤解が出そうなところは、仕事量のコントロールについてだ。
週に3日稼働して、年間120日程度の実働で年収1000万円という計算は、講師業を始めてまもなくの頃には成り立つ。
ただ、それは楽に働いて多くの稼ぎがある、という認識ではよくない。

講師の働き具合の実情として、稼働日数は二極化傾向にある。すごく稼働している人と、あまり稼働していない人。
年間120日稼働という微妙な数字は、必ずやずっとキープできるものではないと思える。

理由は、プロ講師という「お座敷にお呼びがあってなんぼ!」な自営業の身だから。

仕事量を理想的にするために「有り難い」注文をセーブすることなんてできない。やってくるオーダーをいかにこなすかが、講師への顧客評価と受け止める。
さらには仕事を断る姿勢を見せていると、やがて声が掛からなくなる。そんな不安が心によぎると、元気なうちは来るモノ拒まずになるのだ。

特にエージェントは、評判のよい講師を使いたい。それが受注やリピートオーダーにつながる可能性を高めてくれる。
断っている姿勢を感づかれると、「あの講師は仕事を選ぶ。使いづらい」というレッテルを貼られてしまう。
だからプロ講師はオーダーにきちんと応え、それなりの結果を出せば、評判が評判を生み出し、仕事量はどんどん上向く。

この本を読まれて講師になられるのなら、『年間200日働いて、年収3000万円をめざそう!』という気概で自分を高めて欲しい。これは現実的な数字だから。
そのためには、よい講師になるさらなる取り組みが不可欠だ。よい講師が増えれば、この業界はもっと大きくなる。
人材教育市場の拡大には、カリキュラム善し悪しだけでは補えない。よき”教える人”の増加が必要なのだ。

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