前々回で記したように、いま”学ぶ人”は注目されている。
「先の見えない世の中で社会や組織に依存するだけでは、こりゃマズいぞ!」と、自らの価値向上をめざす人たち。確かに目立ってきた。
しかし、日々企業研修を行う立場で観察してみると、そうした”学ぶ人”はマイノリティな存在。大半のビジネスパーソンが、まだまだ”教わる人”なのである。
たとえば企業研修には、強制参加型と手挙げ参加型がある。
強制参加型というのは、誰彼なしに「しゃぁないなぁ」的な心境で受講させられる研修。上司から「おまえ、行ってこいや」と命じられたり、「年に1回、研修受講が義務かよ」と強いられて参加する人が多くを占める。(もちろん全員ではない)
手挙げ参加型は、「おっ、この研修テーマって興味あるやん」と動機付けをして、自主的に受講してくる研修になろう。
こうした個人の意識や姿勢によって、”学ぶ人”と”教わる人”とに分けられる。この二つのタイプ。「どないちゃうねん?」と考えると……
学びの場へ出向くきっかけとなった心境。それが主体なのか、客体なのか、にあろう。
前述のとおり、自らのレベルアップに向けて教わろうと動機付けしている人が、”学ぶ人”。
外部からの強制力が働いて、mustな状況で参加してくる人が、”教わる人”。
しかし、この”学ぶ人”と”教わる人”は、学習している最中に切り替わったりするから、見ていて面白い。
「あれ、あんたは”学ぶ人”だったんでは?」とか「おぉ、”教わる人”から抜け出したね」など、発見がある。
ただその要因には、“教える人”の存在が大きく影響する。
だから「教わる側の質が悪い!」と結論づけて、己の教える気持ちを萎えさせるのではなく、教わることにネガティブな人でも、“学ぶ人”へと心境の変化を起こさせることが”教える人”の真骨頂だと考えよう。
……しんどいけどね。
とにかく、教わる側には自ら”学ぶ人”と単に”教わる人”に分かれるが、“教える人”によってその学習姿勢が移り変わることを知っておこう。
